● 性依存と精神的・社会的リスク

 性嗜好障害(パラフィリア障害)とは、精神的・社会的なリスクをおかしてまで、痴漢・盗撮・露出行為等の性的な問題行動を行う状態です。

 強迫的性行動症は、強迫的な自慰行為が止まらない、アダルトサイトへの過剰なはまり込み、性風俗通いをやめることができない、といったことのため、社会的・身体的・経済的損失を繰り返している状態です。

 精神的リスクとは、「やってはいけないとは分かっているけれど、止めることができない、どうしたらいいのだろうか」といったように、その行為によって葛藤や罪悪感が生じ、本人の精神的な健康がネガティブな状態になることです。

 また、社会的リスクとは「強制わいせつや迷惑行為防止条例違反など、法に触れるということで、社会的な地位・ステータスを著しく損なう場合」のことをさします。

 

 性依存にある状態では、このようなリスクを分かっていながらも、リスクを過小評価してしまう傾向にあります。そのため、リスクをおかしてまで望ましくない性嗜好行動をしてしまうおそれがあります。意志の力だけではコントロールできないのが依存症の特徴ですので、適切な治療・支援が望まれます。

 

 あつた白鳥クリニック 依存症・嗜癖治療センターでは、性依存症治療のオンライン・グループ・プログラムを実施しています。下記の電話番号まで、「性のオンライン・プログラムについて」とお問い合わせください。

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● 窃盗の再犯率と窃盗症/クレプトマニア

 窃盗の再犯率は高いと言われています。平成26年度版の犯罪白書では、窃盗の前科がない者*の再犯率は24.9%で、1/4の人が窃盗を繰り返しています。前歴がない者の再犯率は12.0%ですが、前歴があるほど再犯率も高くなっているようです。*(前科がないとは、逮捕等されたが、刑事裁判に至らなかった場合のこと)

 別の資料では、窃盗症/クレプトマニアの再犯率は「2年内で8割」ともいわれています。1度したら2度目もある、ということが多いことがうかがえます。

 

 ここで、窃盗症/クレプトマニアは嗜癖の病であるという点から、他の依存症と同様に「耐性ができる」という点を気にかけておく必要があるでしょう。窃盗症・クレプトマニアでは、窃盗前には盗みたいという強い衝動と緊張感、窃盗後には解放感をともないます。

 しかし、窃盗という行為が繰り返される中で、窃盗衝動、緊張感、罪悪感、解放感に「慣れ=耐性」が生じていきます。耐性が生じることで、自覚されにくくなっていき、窃盗が慢性化しやすくなってしまうのです。自覚がされにくくなっていくからこそ、外部からの治療が重要になります。

 

あつた白鳥クリニック 依存症・嗜癖治療センターでは、窃盗症/クレプトマニアのオンラインでのグループ・プログラムを実施しています。下記の電話番号まで、「オンライン・プログラムについて」とお問い合わせください。

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● 性依存が問題になるとき

 性的な興味関心を持つのは人として自然なことです。

 けれど、性的な考えや行動が、日常生活や仕事などを圧迫してしまうようになると、はたしてその状態は「自然」でしょうか?

 性依存症者では、性的な問題行動について、「やってはいけないことだと分かっている」という自覚を持っているケースが多くみられます。しかし、

 

「分かってはいるけれど、自分自身では欲求や衝動をコントロールできない

コントロールがどうしてもできなくて、実行に移してしまう

 

 このようなコントロール障害の状態におちいっていることで、「本人、そして周りの人にとっての障害となる行動」をとってしまうのです。

 性の嗜好性が偏っている、願望を持っているだけでは、問題行動や障害としてはみなされません。問題になるのは、「実際に」行動してしまうことで逮捕されたり、空想や衝動が強すぎて1日の時間の多くを使っているといった、「困ったことが起きた=問題が生じた」場合です。

 

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● 繰り返される窃盗衝動 窃盗症/クレプトマニア

 窃盗症・病的窃盗/クレプトマニアとは、盗みたいという衝動性を抑えられずに繰り返し行ってしまうことが問題です。

 例えば、ある時に急に「この食べ物が欲しい!」という衝動に駆られて、一度万引きをしたとします。そのときに、見つかって捕まってとても反省したので盗ろうという衝動が起きない。

 また、万引きしたものの、盗れたという達成感などよりも「とんでもないことをしてしまった」という罪悪感の方が強く、もう2度とやらなくなっている・・・といったケースでは窃盗症/クレプトマニアとは診断されません。

 

 窃盗症/クレプトマニアでは、「盗みたい」という強い衝動が生じ、その「衝動に抵抗することができないこと」が繰り返されます。盗むときの緊張感や、犯行のあとはある種の解放感を伴います。

 きっかけは、たまたまそれが上手くいったことかもしれません。しかし、また次にも同じことを繰り返してみる、手口がスムーズになっていく、より強い緊張感・解放感を求めて、次第に一日の大半を盗むことについての考えが占めるようになっていく…といったように、「窃盗についての衝動や考え、行動が繰り返されていること」が、行為依存(プロセス依存)としての窃盗症/クレプトマニアなのです。

 

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● 「性依存症」とは(性嗜好障害・強迫的性行動症)

 性的な関心や欲求は、多かれ少なかれ誰もが抱くものです。性的な行為それ自体が問題になることは、本来はないといわれています。

 しかし、性的な行為が問題になる場合もあります。次のようなケースでは、性的な問題行動として社会的機能を阻害することにもなります。

 

・盗撮・覗き(窃視障害)

・露出(露出障害)

・痴漢(窃触症)

・下着窃盗(フェティシズム障害)

・小児性愛(小児性愛障害)

・性的マゾヒズム/サディズム障害

 

 以上のように、繰り返す性犯罪という形で、社会的な問題につながる行為を行う場合の性行動は問題となります。

 また、性行為・性交渉の回数が過剰になったり、性風俗の利用回数が極端に増えるという場合にも、性的な問題が生じている可能性があります。

 

こういった「性」についての考えや行動が繰り返し起こり、そのことで困っているというときに、「依存」状態になっているといえます。そして、このような依存状態は、「行為(プロセス)依存」という精神疾患の1つとして治療が必要であると考えられています。

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● 窃盗症・病的窃盗/クレプトマニアと衝動性

窃盗症・病的窃盗/クレプトマニアとは、

・「盗みたいという衝動を抑えることに何度も失敗しながら、やめたくてもやめられない状態に陥っている人」

・「十分な金銭を持っている上に、経済的にはさほど困っていないのに、重大な法的リスク(執行猶予中の再犯など)を犯してまで万引きをしてしまう人」

のことをいいます。

 

 スーパーなどのある特定の店舗に行けば盗んでしまうことが分かっているのにもかかわらず、そこに行ってわざわざ万引きを繰り返す人もいます。これらの人は、貧困で生活のために盗むとか、プロの窃盗者とは異なり、必ずしも何かが欲しいから盗るわけではありません。窃盗のために窃盗する」ことを繰り返す状態にあります。

この窃盗行為については、本人も「分かっている」

→ 「けれど、やめられない」

→ 「盗みたいという衝動や欲求を自分自身でもコントロールできない状態」

にある人たちであるといえます。

 クレプトマニア(窃盗症・病的窃盗)とは、「物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される」という衝動制御の障害ととらえることができます。

 このような人たちは、「窃盗すること、その行為自体が目的」という、行為依存(プロセス依存)の状態におちいっているといえます。

 

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● どこからが「依存症」なのだろうか?

 辞書的には、「依存」とは「他のものをたよりとして存在すること」をいいます。

 言葉通りの意味で考えると、この世界では誰でも何にしても自分以外の誰かや、何かに頼って生きています。例えば、毎日の食事一つとっても「パンを売ってくれるお店」がなければパンを食べることができません。極端な話ですが、これも1つの依存状態です。

 では、誰でも何でも、依存症であるのでしょうか? 依存症とは、「あるものに頼るのをやめられない状態」とされます。依存と依存症を分ける境界は、ある物や行動に頼るのだけにとどまらずとらわれていること、それに関する衝動や欲求がコントロールできないことにあるでしょう。そして、とらわれることで身体的、精神的、社会的な問題がでてしまいます。

 依存症とは、「その行動・行為に毎日とらわれて」いて、そのことなしでは満足感がない、満たされない状態になっていることです。そのため、続けているうちに他の何にも増してその行為が大事になってきます。だんだんと、自分の中で依存する行動こそすべて、になっていき、日常生活や仕事に問題が発生します。

 そのうちに「より頻繁に」、「より激しく」なり、エスカレートしていくと自分の心身を傷つけ、周囲の人も巻き込んでいってしまいます。これが依存症です。

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● 窃盗症・病的窃盗/クレプトマニアとは

 万引きは、少年犯罪の代表といわれてきました。しかし、最近では成人の万引き事案の増加が社会的な問題になっています。一般成人や、社会人、主婦、高齢者など、幅広い年代で常習万引きにおちいっている人が増えているといわれています。

 常習的な万引きを繰り返し、その万引き行為をどうしてもやめられない、という状態は「窃盗症・病的窃盗/クレプトマニア」という精神疾患にあてはまります。

 窃盗症・病的窃盗/クレプトマニアの特徴として、次のような特徴があるといわれています。現在、窃盗・万引きをしてしまっており、窃盗・万引きをしたいという衝動にとらわれている人で、次の内容にいくつか当てはまるとき、窃盗症という精神的な病の可能性を疑ってみる必要があるかもしれません。

1.主に万引きを繰り返す

2.ほとんどは、一人で行っている

3.リスクに見合わない窃盗行動を繰り返す

4.窃盗以外には、反社会的行動がない

5.職業的犯罪者ではない

6.窃盗衝動のスイッチが入ると、自力でのセーブ・抑止が困難

7.捕まっても再びやってしまいしやすい

8.心理的、生理的飢餓感を背景に持つ

9.摂食障害やうつ病などを合併することが多い

10.刑事罰ではほとんど更生しない

11.病識(病気であるという自覚)がほとんどない

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依存症の治療について

みなさん、こんにちは。

今回のテーマは、「依存症の治療」についてです。

依存症の治療の説明をする前に、そもそも依存症とはどのような病気かを簡単に説明させていただきます。

依存症の特徴

①依存行為を「やめようと思っていても、やめられない」

②依存行為により自身の健康、経済面、家族や職場になんらかの支障が生じていること

これらの特徴から、依存症の治療においては、「やめ続ける」ということが大きな目標になってきます。

ここでは、依存症治療について2つの治療モデルで紹介してみようと思います。

①リラプス・プリベンションモデル

このモデルは、依存行為を引き起こしやすいトリガー(引き金)を特定し、それを避けるための方法を身に着け、実践し続けることが目的になります。

②グッドライフ・モデル

このモデルでは、誰もが「良いもの」を手に入れたいと考えて生活していると考えます。依存行為は「良いもの」の手に入れ方が不適切だったと考え、より適応的な方法で「良いもの」を手に入れるため、短期~長期的な目標を立てていきます。

当院ではこの2つのモデルを参考にプログラム治療や個別カウンセリングを行っています。

最後に当院で実施している依存症治療プログラムを紹介させていただきます。

・薬物依存グループ

・ギャンブル依存グループ

・性依存(性嗜好障害)グループ / 性嗜好障害オンライン治療プログラム

・クレプトマニア(病的窃盗)グループ

・弁証法的行動療法グループ(自傷行為、過量服薬、過食嘔吐、感情調節困難など)

※その他依存症(アルコール、買い物など)も個別で対応しています。

ご希望の方はお気軽に医師にご相談ください。

広場恐怖とは?~事例を通して考えよう

これまで、パニック障害の方が抱える不安の本質、処方の必要性、生活習慣との関わりなど、パニック障害についてのブログを何本か書いてきました。

今回は、架空のケースを通して、パニック障害の症状の1つである広場恐怖について考えてみましょう。

【ケース1】

Aさんは20代の会社員の女性。仕事が忙しく残業もこなしながら、プライベートでは家族や友人との付き合いも大事にしておりました。

ある日、いつものように電車に乗って通勤していた際、急な動機と発汗、窒息感に襲われました。急なことで驚き、「このまま死んでしまうのでは?」と強い恐怖に襲われながら、途中の駅で降りました。

ホームでうずくまっているうちに徐々に落ち着いてきたものの、大事を取ってその日は会社を休むことにしました。しかし、また電車に乗って出勤しようとした際、電車の中で起きた急な動機や窒息感を思い出し、「電車に乗るとまた起こるのでは?」と不安が高まるようになりました。

自転車で会社に行ける距離ではなく、車の免許も持っていなかったAさんは、家族やパートナーに協力を依頼して何とか出勤していました。気軽に電車に乗れず、友人の前で体調を崩して迷惑をかけるのが嫌で、友人との外出の誘いも断るようになりました。

結果、生活範囲がどんどん狭まっていき、生活の充実感が減ってしまいました。

このまま家族やパートナーに迷惑をかけられないと考えたAさんは、意を決して精神科を受診し、パニック障害と診断されました。

Aさんの場合、動機や窒息感などのパニック発作に加え、電車が乗れないなどの広場恐怖という症状が併発しています。

広場恐怖とは、一度発作を起こした場所や、長時間拘束されて発作が起きたときに「逃げられない」と感じる場面を避けたくなる症状です。

この症状の辛さは、活動に制限がかかることです。

電車に乗れなくなることで、出勤や友人と会うといった日常で普通にできたはずのことが難しくなってしまいます。また、「迷惑をかけるかも」という不安や、助けてもらっている人への罪悪感から、気持ちがどんどんふさぎ込んでしまいます。

Aさんの治療では、パニック発作や不安感を落ち着かせるためのお薬が出るでしょう。

実際、飲み始めることで徐々に不安感は落ち着いてくるかもしれません。

だからといって、Aさんはすぐに電車に乗れるようになるでしょうか?

何もない時は落ち着いていても、いざ電車に乗ろうとすると、発作の苦しさに加え、周囲から見られることの恥ずかしさなど、記憶がリアルによみがえってきます。そして、電車アから離れれば離れるほど怖いイメージが膨らみ、ますます近づけなくなるでしょう。

従って、広場恐怖の克服には処方とは別の専門治療が必要になるのです。

いかがだったでしょうか?今回は広場恐怖の解説のために、事例をご紹介しました。

このAさんの事例を通して、今後も様々な観点でパニック障害の解説を行いたいと思います。

あつた白鳥クリニックでは、パニック障害の本質となる不安感、その中身である身体感覚過敏への専門治療に加え、広場恐怖の克服ための治療を行っていきます。

また、お近くに専門の医療機関がない方に向けて、オンラインでの対応もしております。

今後も情報発信をしていきますので、ご興味のある方は一度お問い合わせください。