● 窃盗症/クレプトマニアの心理

 窃盗症/クレプトマニアの発症には、潜在的被害者意識や心理的飢餓感といった心理的要因が関係しているとされています。

① 潜在的被害者意識

 自分の能力や努力が社会から正当に評価されていない、自分の責任ではない養育環境・容姿などのために不利に扱われてきた、というような生活歴から生じやすい

② 心理的飢餓感

 潜在的被害者意識が生じると、「損害を取り戻したい」「何かで埋め合わさなければならない」という心理的飢餓感につながりやすくなり、この心理状態が窃盗行為につながりやすい

 また、望ましくない養育体験を受けており、「やり場のない怒りといら立ちを抱えている」といった切迫した心理状態や、明確な挫折体験が窃盗行為の背景としてみられることも少なくないようです。

 このような背景があり、万引き行為を数回以内で止められないときには、万引き成功時の達成感、満足感に取りつかれてしまうことがあります。一方、万引きがうまくいくことが続くと、犯罪意識と罪悪感が減少していってしまい、窃盗症/クレプトマニアにいたるおそれがあります。

 再犯防止の観点からは、自分の考え方や性質などをよく理解していくことが必要です。そのため、適切な治療の場で進めていけるとよいでしょう。

 

 あつた白鳥クリニック 依存症・嗜癖治療センターでは、窃盗症/クレプトマニアのオンラインでのグループ・プログラムを実施しています。下記の電話番号まで、「オンライン・プログラムについて」とお問い合わせください。

あつた白鳥クリニック 依存症・嗜癖治療センター 052-671-1555

● 窃盗症/クレプトマニアは逮捕されるととまるのか?

 窃盗症/クレプトマニアは、行為(プロセス)依存ですので、窃盗することに耐性ができてしまい、自分ではどうにも止められない状態にあります。「行為依存と刑事弁護」(神林ら,2021)では、窃盗症者の本音について、次のような内容があげられています。

 

家族や店舗の人の言葉でやめられるなら、とっくにやめているもうどうしていいのかわからないまま犯行を重ね、それがやっと逮捕という形でとまる、そのことにほっと安心する」

 

 では、実際に逮捕されればとまるのか、というと、逮捕された万引き事犯者の1/4の人は再犯しています(平成26年度犯罪白書)。窃盗症/クレプトマニアにおちいるとは、「盗むことが日常化」するということです。日常的に万引き・窃盗をしてきた人たちにとって、これまでの自分とは違う、再犯しない自分になるというのは簡単ではありません。

 窃盗症/クレプトマニアは、「盗むという行為にはまり込んでしまっている」依存の状態であり、自分ではその衝動をコントロールできないことが特徴です。自分の意志の力だけでどうにかなるものではないため、再犯しない生き方に向けて適切な治療が必要です。

 

 あつた白鳥クリニック 依存症・嗜癖治療センターでは、窃盗症/クレプトマニアのオンラインでのグループ・プログラムを実施しています。下記の電話番号まで、「オンライン・プログラムについて」とお問い合わせください。

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● 窃盗の再犯率と窃盗症/クレプトマニア

 窃盗の再犯率は高いと言われています。平成26年度版の犯罪白書では、窃盗の前科がない者*の再犯率は24.9%で、1/4の人が窃盗を繰り返しています。前歴がない者の再犯率は12.0%ですが、前歴があるほど再犯率も高くなっているようです。*(前科がないとは、逮捕等されたが、刑事裁判に至らなかった場合のこと)

 別の資料では、窃盗症/クレプトマニアの再犯率は「2年内で8割」ともいわれています。1度したら2度目もある、ということが多いことがうかがえます。

 

 ここで、窃盗症/クレプトマニアは嗜癖の病であるという点から、他の依存症と同様に「耐性ができる」という点を気にかけておく必要があるでしょう。窃盗症・クレプトマニアでは、窃盗前には盗みたいという強い衝動と緊張感、窃盗後には解放感をともないます。

 しかし、窃盗という行為が繰り返される中で、窃盗衝動、緊張感、罪悪感、解放感に「慣れ=耐性」が生じていきます。耐性が生じることで、自覚されにくくなっていき、窃盗が慢性化しやすくなってしまうのです。自覚がされにくくなっていくからこそ、外部からの治療が重要になります。

 

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● 繰り返される窃盗衝動 窃盗症/クレプトマニア

 窃盗症・病的窃盗/クレプトマニアとは、盗みたいという衝動性を抑えられずに繰り返し行ってしまうことが問題です。

 例えば、ある時に急に「この食べ物が欲しい!」という衝動に駆られて、一度万引きをしたとします。そのときに、見つかって捕まってとても反省したので盗ろうという衝動が起きない。

 また、万引きしたものの、盗れたという達成感などよりも「とんでもないことをしてしまった」という罪悪感の方が強く、もう2度とやらなくなっている・・・といったケースでは窃盗症/クレプトマニアとは診断されません。

 

 窃盗症/クレプトマニアでは、「盗みたい」という強い衝動が生じ、その「衝動に抵抗することができないこと」が繰り返されます。盗むときの緊張感や、犯行のあとはある種の解放感を伴います。

 きっかけは、たまたまそれが上手くいったことかもしれません。しかし、また次にも同じことを繰り返してみる、手口がスムーズになっていく、より強い緊張感・解放感を求めて、次第に一日の大半を盗むことについての考えが占めるようになっていく…といったように、「窃盗についての衝動や考え、行動が繰り返されていること」が、行為依存(プロセス依存)としての窃盗症/クレプトマニアなのです。

 

 あつた白鳥クリニックでは、窃盗症/クレプトマニアのオンラインでのグループ・プログラムを実施しています。下記の電話番号まで、「オンライン・プログラムについて」とお問い合わせください。

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● 窃盗症・病的窃盗/クレプトマニアと衝動性

窃盗症・病的窃盗/クレプトマニアとは、

・「盗みたいという衝動を抑えることに何度も失敗しながら、やめたくてもやめられない状態に陥っている人」

・「十分な金銭を持っている上に、経済的にはさほど困っていないのに、重大な法的リスク(執行猶予中の再犯など)を犯してまで万引きをしてしまう人」

のことをいいます。

 

 スーパーなどのある特定の店舗に行けば盗んでしまうことが分かっているのにもかかわらず、そこに行ってわざわざ万引きを繰り返す人もいます。これらの人は、貧困で生活のために盗むとか、プロの窃盗者とは異なり、必ずしも何かが欲しいから盗るわけではありません。窃盗のために窃盗する」ことを繰り返す状態にあります。

この窃盗行為については、本人も「分かっている」

→ 「けれど、やめられない」

→ 「盗みたいという衝動や欲求を自分自身でもコントロールできない状態」

にある人たちであるといえます。

 クレプトマニア(窃盗症・病的窃盗)とは、「物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される」という衝動制御の障害ととらえることができます。

 このような人たちは、「窃盗すること、その行為自体が目的」という、行為依存(プロセス依存)の状態におちいっているといえます。

 

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● 窃盗症・病的窃盗/クレプトマニアとは

 万引きは、少年犯罪の代表といわれてきました。しかし、最近では成人の万引き事案の増加が社会的な問題になっています。一般成人や、社会人、主婦、高齢者など、幅広い年代で常習万引きにおちいっている人が増えているといわれています。

 常習的な万引きを繰り返し、その万引き行為をどうしてもやめられない、という状態は「窃盗症・病的窃盗/クレプトマニア」という精神疾患にあてはまります。

 窃盗症・病的窃盗/クレプトマニアの特徴として、次のような特徴があるといわれています。現在、窃盗・万引きをしてしまっており、窃盗・万引きをしたいという衝動にとらわれている人で、次の内容にいくつか当てはまるとき、窃盗症という精神的な病の可能性を疑ってみる必要があるかもしれません。

1.主に万引きを繰り返す

2.ほとんどは、一人で行っている

3.リスクに見合わない窃盗行動を繰り返す

4.窃盗以外には、反社会的行動がない

5.職業的犯罪者ではない

6.窃盗衝動のスイッチが入ると、自力でのセーブ・抑止が困難

7.捕まっても再びやってしまいしやすい

8.心理的、生理的飢餓感を背景に持つ

9.摂食障害やうつ病などを合併することが多い

10.刑事罰ではほとんど更生しない

11.病識(病気であるという自覚)がほとんどない

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「犯罪行為」だとわかっていても、依存行為がやめられない方へ

「ばれなければ大丈夫」

「今回で最後」

「これくらいなら大丈夫」

といった思考が浮かび、犯罪行為を繰り返してしまい困っている方はいませんか?

このような内容で困っている方の中にはただの問題行動ではなく、『依存症』の可能性があるかもしれません。

★犯罪に関連する依存症の方の特徴

□普段は「やってはいけない」、「犯罪行為である」ということを理解している。

□犯罪行為をやめたいと思っているがコントロールできない。

□以前、成功した状況に近い場面に接すると「犯罪行為だから、やってはいけない」とい

った考えが消えてなくなってしまう。

□依存行為を終えた後に「またやってしまった」という後悔や罪悪感が生まれる。

★依存症の種類

□薬物依存:違法薬物の使用がやめられない 

□窃盗症(クレプトマニア):万引きをやめられない

□性嗜好障害(性依存):盗撮、痴漢、露出、下着窃盗などがやめられない

「やってはいけない」という考えが大事な時に消えてしまうのはなぜか?

例えば、あなたが電車の座席に座っているときに杖をついた高齢者がやってきたらどんな考えが浮かびますか?

おそらく「席をゆずってあげよう」という考えが浮かぶのではないでしょうか?

しかし、あなたが家族と喧嘩した、仕事で疲れている、大事な試験があり緊張しているといった状況だったらどうでしょう?同じように「席をゆずる」と考えることができますか?

それは難しいと感じる方も多いのではないでしょうか?

依存症の思考も同じように考えることができます。

「普段は絶対に再犯しない」と心に決めていても、楽しみなことがあり気持ちが高まっているときやストレスによる疲労、イライラ、不安感などがある場合、落ち着いている時と同様の思考をすることは難しくなっているかもしれません。

そのようなときに、依存行為ができる状況に遭遇してしまうと自分が決めた対処を行うことは難しくなってしまいます。

では、どのように対処したらよいのか?という疑問もあると思うのでまた別の記事で一般的な対処法についてもお伝えしていきたいと思います。

この記事を読んで、自分は依存症かも?対処方法を一緒に考えて欲しい!という方がいましたら是非一度診察へお越しいただき、医師にご相談してみてください。

当院で行っている依存症治療のための専門プログラム

性嗜好障害プログラム

毎週月・金曜 17時~19時

毎月第2・4日曜 10時~12時

薬物依存症プログラム

毎月第1・3日曜  14時~15時半

窃盗症プログラム  

毎月第1・3金曜 11時半~12時半

依存症とドーパミン

●ドーパミンとは?
 達成感や満足感を得たときに脳内で出ている神経伝達物質のことです。これが人間に「快」という感覚を与えています。
 例えば、仕事で成功したときや学校でいい成績をとったときにもドーパミンは出ています。
 このとき、達成感や満足感といった「快」を感じ、次も頑張ろうという意欲に繋がります。

●依存症との関連
 人は次のような状況で依存しやすくなります。
・それを行うことで気分が大きく変化すること
例)外を眺めているよりも、ギャンブルで一瞬にして大金を手に入れる方が気分が大きく
 変化するため依存しいやすい。
・時間をかけず、あまり苦労せず手に入れること
例)一か月仕事をして給料をもらうより、ギャンブルで一瞬にして大金を手に入れる方が
 時間も負担も少ないため依存いしやすい。

 このような状況で人は脳からドーパミンが出てきます。すると、脳は「快」が得られることとしてギャンブルを覚えてしまいます(条件づけ)。結果、「またギャンブルをしたい」という意欲に繫がってしまいます。
 さらに、ドーパミンは動物が食べ物を得る時などにも出る物質で生命維持などにも関わってきます。つまり、「ドーパミンが出る=重要なこと。優先すべきこと」ということになります。
結果、仕事を休んでギャンブルに行くなど生活に支障が出てきてしまいます。

★治療をするにあたって依存症のメカニズムを理解する重要性
・今までの自分の行動と認知(依存に至った考え)を客観的にとらえられるようになる。
・対処の精度が上がり、再発のリスクを下げることにつながる。

★当院で行っている依存症治療のための専門プログラム★
・診察
・個別カウンセリング
・グループ療法 性嗜好障害プログラム:毎週月曜・金曜 16時~18時
        ギャンブル依存症プログラム 第1、第3土曜日 10時~12時
 ※依存症の治療を検討されている方は、まずは診察にて医師にご相談ください。