● 窃盗症/クレプトマニアと食習慣異常

 一般的な窃盗症/クレプトマニアの症例では、摂食障害とまでいかなくとも、何らかの異常な食習慣が見出されることが多いといわれています(竹村道夫より)。窃盗症/クレプトマニアにみられる代表的な異常な食習慣を以下にあげます。

A.明らかな摂食障害があるが治療歴がない。

B.30%以上の体重の増減がある。

C.夜間の過食習慣がある。

D.一日一度しか食事しない、後はお菓子をつまむだけ。

E.自発性の嘔吐習慣がある。

F.チューイング(噛み吐き)の習慣がある。

G.ダイエット中のアスリート。

H.糖尿病などのダイエット中である。

I.極端な偏食がある。

J.摂食障害既往のない窃盗症患者が、良好な治療経過中にダイエットを開始したら、途端に再犯した。

 これらの例では、生理的な飢餓感を抱えやすい状態にあることから、涸渇恐怖やためこみマインドにつながりやすいこと、涸渇恐怖やためこみマインドが窃盗衝動の原動力となっている可能性があると考えられています。

 

 あつた白鳥クリニック 依存症・嗜癖治療センターでは、窃盗症/クレプトマニアのオンラインでのグループ・プログラムを実施しています。下記の電話番号まで、「オンライン・プログラムについて」とお問い合わせください。

あつた白鳥クリニック 依存症・嗜癖治療センター 052-671-1555

● 性依存症と意志の力

 反復する性的逸脱行為の背景には、依存症の要因が強く影響しています。

 本人も周りも、問題そのものに注目がいってしまい、その行為の背景に「依存症の問題」が関係しているということになかなか気づけないでいます。どうしてその行為自体にはまり込んでしまっているのかを、依存という観点から理解することが改善には有効になってきます。

 よく、何かに依存するのは「意志の弱さ」があるのではないか、ということが聞かれます。意志を強く持てば、あるいは大切な人や物を失うことを考えれば依存行為をやめられるのではないか、という意見です。

 

 しかし、依存症とは、自分の意志では依存行為をコントロールすることができないことが大きな特徴です。コントロールの障害には、脳の機能的な変化も関連してきますので意志の持ち方次第でどうにかなる、というものではありません。

 本人がやめたい、やめなければならないと思っていても、ある特定の状況になると、行為の衝動がうまくコントロールできず、再度行ってしまうケースが多いのです。この点を分かりながら性依存症の問題を考えていく必要があります。

 

 あつた白鳥クリニック 依存症・嗜癖治療センターでは、性依存症治療のオンライン・グループ・プログラムを実施しています。下記の電話番号まで、「性のオンライン・プログラムについて」とお問い合わせください。

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● 窃盗症/クレプトマニアと摂食障害との関連

 窃盗症/クレプトマニアでは、摂食障害との合併が多く、何らかの食習慣の異常を持つケースが多いといわれています。窃盗症/クレプトマニアと摂食障害が重なる要因として、「飢餓感」、「涸渇恐怖」などがあります。

 強いストレス下では心理的飢餓感が生じやすくなります。欲求が満たされていない場合には、人は何らかの形で欲求を充足させようとします。しかし、健全な方法がわからなかったり、挫折体験をすることで自己肯定感が保てなくなったとき、現代人は変身願望からダイエットにしがみつくといわれます。痩身維持に失敗すると摂食障害を発症してしまいかねません。

 

摂食障害患者は、

「心理的飢餓感」

「生理的飢餓感」

というダブルの病的飢餓感を持ちます。これから、「自分の物や資金が減る」「周りからの自分への評価が下がる」という涸渇恐怖が生じます。摂食障害では、この恐怖に対処するために買い物の際に予備の資金を減らさずに多くの商品を入手したいという衝動、つまり盗みたい衝動に駆られてしまうといわれています。

 適切な形で欲求が充足される方法を身につけることが、窃盗症/クレプトマニアに至るのを防ぐことにつながるといえるでしょう。

 

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● 性依存症と引き金

 性依存行為は、自分にとって何らかの「快感」をもたらす行為だったでしょう。そのため、例えば「盗撮をするとき、興奮する」「痴漢をするときのスリルが心地よい」という感覚があった場合には、脳や体がその時の状況に反応するようになってしまっています。

 依存行為をしてしまうことと関連の深い刺激のことを「引き金」といいます。それは対象となる人物であったり、普段から性依存行為をしていた場所であったり、状況であったりします。「満員電車で痴漢をしていた」という人では、この満員電車が引き金であるでしょう。

 依存行動が繰り返されていれば、電車や駅といったものでも依存行為と結びつきができているかもしれませんので、電車や駅でもその人にとって引き金となり得るのです。

 

 性依存症の治療における一つの目標は、再発(再行動)をしないことです。しかし、引き金に近づくと、自然と脳が反応して「性依存行為をしたくなる」状態になってしまいます。

 そのため、引き金から離れて生活をしていくことが基本となります。また、引き金にであったときには、速やかにその場を離れたり、意識して性依存行為の考えをやめることが重要です。

 

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● 窃盗症/クレプトマニアの再犯防止

 再犯防止について、当センターでは認知行動療法的アプローチをもとに、出来事や行動にともなう「認知―感情―行動」の流れを明らかにして、出来事に対処する感情や行動のスキルを学びます。

 窃盗症/クレプトマニアの方では、「ちょっとした万引きは大した問題行動ではない」といった望ましくないモノの見方=認知の偏りを持っていることが少なくありません。再犯をしないためには、「加害につながる認知―感情―行動」を改善していくことが重要です。

 

 犯行時の認知や感情の振り返りをすることは、また同じような負荷がかかる状況に陥った際、どのように対処すればよいのかを考えていく材料になります。

 例えば「仕事でストレスがあってむしゃくしゃするから、盗ってスッキリしよう」という考えがある場合、他にスッキリできる望ましい方法は何があるかを見つけていくことが必要です。

 また、犯罪を回避する方法を考えるだけではなく「どのような自分になりたいか」という目標設定を同時にしていくことで、変化への動機づけを高めていくことができるでしょう。

 

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● 性依存症と嘘

 依存症からの回復の神髄は「正直になること」であるといわれています。薬物やアルコールといった物質依存症であっても、性依存の問題であっても、その他の依存症であっても、正直であることが回復・改善に重要なのは共通しています。

 依存症では、周りに対しても自分に対しても嘘をついてしまうことがとても多くみられます。自分が依存症であるならば、心配する家族や友人、職場の人などに対して、嘘をついたことがあるかもしれません。

 

 最初からそうであったはずはないのですが、いつの間にか、「身近な人間関係よりも、依存行動の方がずっと大事なもの、ずっと信頼できるものとなってしまう」のです。

 依存症という内容はオープンにしづらいものです。性依存症においても、依存行為を行っていることをできるだけ隠そうとします。しかし、性依存とうまく折り合っていくためには、自分が感じている思い・気持ちを正直に言葉にしていくことが大切です。

 信頼できる治療者・支援者に「どうして性依存行為をしたい気持ちになったのか」を素直に話し、対応を考えていけるとよいでしょう。

 

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● 性依存症とスケジュール作成

 性依存行為をやめて間もないとき、「何もすることがない時間」は危ないといわれています。空白の時間ができてしまうと、つい「性についての問題行為」について考えてしまい、また行ってしまう可能性が高まってしまうからです。

 こうしたときには、スケジュールを立てることが有効です。一日を安全に過ごすことができるようにスケジュールを作り、その通りに行動することは、性依存行為をしない平穏な日を伸ばしていくためのよい方法の一つといわれています。

 スケジュールを立てることは次のような良い点があります。

 

・性依存行為につながる可能性のある場面を避けることができる

・可能性のある場面に行くとしても、対策を立てることができる

 

 例えば、電車で痴漢行為や盗撮行為をしていた人は、電車を使わないことで依存行為から離れて過ごすことができるかもしれません。

 改善の第一歩は、性依存行為につながるような行動、場面を避けることです。また、うまく行動できるようになってきたら、代わりの望ましい行動をスケジュールしてみることも大切です。

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● 機会・チャンスをなくす (窃盗症/クレプトマニア)

 あれこれと小難しく考えるよりも、シンプルに万引きをしないでいられるかもしれない方法としては、「万引きができそうな場所に行かない」という対処があげられます。

 例えば犯罪をしたいと思って、犯罪をしようとしている人であっても、

「他の予定がある」

「他者の目がある」

「被害者と接する機会がなかったりする」

と、犯罪をしなくてすむことがあります。つまり、機会・チャンスをなくしてしまうことで、犯罪をしない対処ができていくのです。

 

 窃盗症/クレプトマニアでも、いつもの万引きができそうな店に行こうとするのではなく、家の中でゆったりと過ごす計画を立てて実践することも有効といわれています。また、外出するにしても、お店には行かないような外出プランを立てることも大切です。

 他にも、保護者など身近な人に見守ってもらったり、支援者から行動を定期的にチェックしてもらったりする「モニタリング」を行ってもらうことや、行動範囲を決め、万引きをしそうな場所を回避するといった試みをとっていくことも、窃盗の機会をなくしていくという方法として有効です。

 

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● 性依存症では「賢くなれ」

 依存行為からしばらく距離をとっていると、うまくやめ続けているという自信がついてきます。性依存行為をしないで日常生活や社会生活をうまく過ごせることは、とても素晴らしいことだと思います。

 依存症でたびたび課題になってくるのが、「もう大丈夫」という思いです。もう大丈夫という安心感が得られるのはホッとするかもしれません。しかし、しばらくしていなかったからこれから先も大丈夫、という保証はどこにもありません。

 依存症には、「完治」という言葉はありません。例え10年間、依存行為をとらなかったとしても、学習された「快感」と依存行動の結びつきは、仮に10年経ってもなくなることはありません。

 

 依存症は、意志の力でやめることは難しいといわれています。一番大切なのは、「強くなるより賢くなれ」という言葉です。

 

 依存症では無理に「自分なら大丈夫だ」という強さを持つよりも、できる限り依存行為のきっかけに近づかないようすることが必要です。また、きっかけに近づいたときに対処できるコーピングの力をつけておくことも重要です。

 

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● 窃盗症/クレプトマニアと良心

 多くの人は、犯罪をしたいと思っても、犯罪はいけないと思って、犯罪をしません。犯罪をしない人たちは、

「社会的なルールは守らねばならない」

「犯罪をしてしまうと捕まって損になるとか」

「他者を傷つけたくない」

 といった考えが強いために、犯罪をしないと考えられています。これはいわゆるところの「良心」であり、犯罪をしないでいられる心の内側のバリアともいえます。

 

 しかし、欲求不満が高じてしまうと、犯罪をしてでもその欲求を満たいしたいという思いが強くなってしまったり、そもそも自分がしたいことは犯罪にはならないとか、犯罪であるとしても万引きはたいしたことではないと思い込んだりしてしまう場合があります。

 このような、犯罪行動を許す考え方を「認知の歪み」といいます。自分の中の認知の歪みを見つけて、犯罪をしない考え方を選ぶことができるようになれば、「良心」の力が強化され、犯罪から遠ざかることができるとされています。自分の中のモノの考え方・捉え方は、練習をすることで少しずつ気づけるようになっていきます。

 

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